ブログ「ひと葉日記」

代位による相続登記と登記識別情報

こんにちは。司法書士の岩永加寿美です。

まだ、梅雨明けしない福岡。さっきまで青空だったと思ったら、1時間くらいの間に真っ黒いくもが空を覆い、雷雨・・・なんてことも珍しくありません。

昨日も、曇り空だと思って日焼け止めもそこそこに、外に出てしばらくしたらサンサンと・・・帰ったら顔が真っ赤になってました

 

さて、相続登記と登記識別情報通知の発行について・・・

通常、相続人から相続登記を申請すると(不通知の申し出をしない限り)登記識別情報が通知されます。

これは、不動産登記法21条に・・・

(登記識別情報の通知)

登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出を した場合その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。

 

相続登記については、相続人のひとりからでも法定相続の登記を申請することが出来ます。

例えば、被相続人甲の相続人が子のA,Bである場合にAのみから、相続を原因として1/2A、1/2Bという登記を申請することが出来ます。

この場合、登記識別情報はAのみについて通知され、Bには通知されないことになります。つまり、Bが今後自己の持分について売買や抵当権などを設定するときには、事前通知を利用するか若しくは本人確認情報を添付することになります。

 

そして、もうひとつ債権者代位による相続登記というケースもあります。

先程の事例でいくと、被相続人甲名義の不動産について、相続人Aの債権者Xが権利を行使するために、相続を原因として1/2A、1/2Bという登記を申請することが出来ます。

この場合、債権者Xは登記名義人になるわけではありませんので、登記識別情報は誰にも通知されないことになります。

 

根拠は民法423条に・・・

(債権者代位権)

債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。

2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない

 

債権者代位権が行使されるケースとしては、例えばAの債権者XがAにお金を貸付け、約束の期日を過ぎてもAは返す気配もない。といったような場合に、Aには父甲名義の不動産の相続権があることが分かったので、この不動産のからの借金の回収を図ろうと考え、A持分の差押えの前提として被相続人甲の相続登記をAに代わって申請するというもの。

その他代位権を行使できるケースは諸々ありますが、ここでは割愛させていただきます・・・

 

この場合は、登記簿に代位者Xの氏名住所と代位原因に年月日金銭消費貸借の強制執行と入ることになります。

ですから、代位登記であることが分かれば登記識別情報は、無いということが分かります。

 

余談では、ありますが423条の債権者代位権についても改正によって見直しがされるようですね・・・・

勉強が大変そうだ~

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