司法書士と空き家問題
こんにちは。司法書士の岩永加寿美です。
一昨日は、中秋の名月(昨日の写真)、昨日はスーパームーン(今日の写真)、今日は「天赦日」という日なんだとか・・・
天赦日とは、日本の暦上、最上の吉日なんだそうで、百神が天に昇り、天が万物の罪を赦す日とされ1年に5~6日しかない開運日だそうです。
特に今日は、一粒万倍日という別の吉日とも重なるため宝くじを購入するとよいとか・・・・・
ここ近年、空き家問題という話題がクローズアップされています。
平成27年5月26日空家等に関する特別措置法「空家法」が施行されて、市区町村もこれらの対策に具体的に乗り出せるようになりました。
空家は、2015年の統計で役820万件(13.5%)とかなりの数・・・・
建物が空家のまま放置されることで起こる様々な問題は、当事者よりも近隣住民の不安や不満に繋がっている
例えば、倒壊のおそれがある、不衛生、景観を損なうなどなど。何か事件が起こってからでは遅いのです
ではなぜ、空家問題が起きるのか?それは「所有者が分からない」「相続問題などで所有者(相続人)の同意が得られない」「解体費用が出せない」が原因になっています。
ちなみに「建物を取り壊すと、税法上の優遇を受けられず、固定資産税が高くなるからそのままにしている」問題は、
平成27年の税制改正において、特定空家等には税制法上の優遇措置の対象外とし、通常どおりの課税するという改正がされました。
以前から司法書士は、不動産登記や成年後見、相続などに関与していることから空家問題の相談を受けることがありました。
「隣の空家に人の出入りがあるようだが・・・怖い」とか「不法投棄などでゴミが散乱して異臭で窓も開けられない・・・」
だけど、登記簿上の所有者のおばあちゃんは、数年前に亡くなったが相続人があるかも分からない・・・
こういったケースでも空家法が施行される前は、行政でも個人情報の壁が立ちはだかりなかなか所有者を特定できない・・・という悩ましい状況であった。
しかし、施行後は市区町村は、固定資産税課税台帳などの行政が保有する情報を確認することができるようになった。
また、公用として戸籍や住民票の取得もできるようになったことで、かなりの確率で所有者まで辿りつけることになるはずです。
それでも、所有者を特定できなければ、不在者財産管理人の選任等へと進めることも可能です。
所有者が分かれば市区町村も建物についての意向を聞くことができ、立入や取り壊しの同意などもとれるということになります。
最終的には、相続人調査の他に見つかった相続人へ所有権移転登記や建物取り壊し後の滅失登記(土地家屋調査士)などまでを行うことになります
これら一連の作業は、専門的かつ時間がかかる作業で市区町村の担当者のみで行うことは難しく、司法書士は独自の権限で動くことはできないので、
市区町村の依頼を受けて動くということになります。
空家法の施行によって、空家問題のいくつかの問題点はクリアされたとしても、調査や投入する人員、費用は市区町村の負担となるケースもあり、
結局は、税金が投入されているということも忘れてはならないと思います