株式の総数引受契約
昨日から冷え込んできましたね
事務所のエアコンも暖房モードに・・・
今日は、株式会社の募集株式の発行についての平成27年5月の改正点のことを少し。
会社が資本金の額を増加(いわゆる増資)をするために新株を発行する場面のお話です。
今回は、株式について全株式譲渡制限(会社の承認なしに株式を譲渡できない)の定めのある会社であることを前提とします。
たいていの場合、会社から増資をしたいというお話があった場合、誰が出資して資本金をいくらにするか?は既に決まっています。
ですので、あとはその株式の内容、発行する数であったり、
どの方法(株主割当て、第三者割当て)で発行するのか?ということの打ち合わせをします。
基本的に、第三者割当ての方法によって株式の募集をする場合の手続は、
①募集事項の決定(取締役会決議、取締役の決定又は株主総会の特別決議)
②募集事項等の通知※
③募集株式の申込※
④会社の株式割当て決定(取締役会又は株主総会の特別決議)※
⑤申込者への割当数の通知※
⑥払込期日(期間)に出資の履行(株主となる)
・・・という流れになるため、「すぐに増資したい!今すぐしたい!」といった場合には、
②~⑤の手続を省略できる、株式総数引受契約を利用することがあります。
株式総数引受契約は、一連の手続を即日完了できるという最大のメリットがあります!
この点について、平成27年5月に改正がなされました。
全株式譲渡制限会社の株主が株式を譲渡する場合、
会社の(取締役会、株主総会、その他定款の定めによる機関)譲渡承認が必要になります。
この趣旨は、会社にとって好ましくない株主を入れないというものであり、譲渡の場面のみならず
募集株式の発行の場面においても維持されるべきとの観点から、
上記④の手続が省略される株式総数引受契約において、会社の承認を要すると変更されました。
これによって、株式総数引受契約による場合には引受契約の承認という手続が追加でされることになりましたが、
1日で増資完了できるということには、変わりありません。
しかし・・・
1.募集事項の決定(取締役会決議、取締役の決定又は株主総会の特別決議)
2.株式総数引受契約の締結
3.株式総数引受契約の承認決議(取締役会又は株主総会)
4,出資金の払込
条文を読むと、1と3は別々に開催しなければならないような感じ・・・(当然、会議は2回、議事録は2枚!)
となると、今まで1度で済んでいた会社にとっては何とも忙しく慌ただしい1日となりそうですね