相続・遺言関係

推定相続人の廃除

Q.わたしにはひとり息子がおります。息子は以前から私や亡くなった妻にも再三にわたって暴力をふるい、親戚知人からも多額の借金をして返済もせずに10年前から行方不明です。

わたしも親として他人様に迷惑を掛けられないと思い、借金を肩代わりして返済しました。息子はどこかで生きているとは思いますが、もう関わりたくありません。

わたしも病気を患い長くないと思いますが、私が亡くなったあとは、現在お世話になっている社会福祉法人へ財産すべてを寄付して、世の中のために役立てて欲しいと思っています。

息子に一切の財産を相続させずに寄付をするということは、できますか?

回答

あなたの相続人は息子さんひとりですが、被相続人の意思で相続人の相続権を奪うことができます。

これを「廃除」といい、被相続人に対して虐待や重大な侮辱を加えた場合またはその他著しい非行があったときに、家庭裁判所に相続人の廃除の請求を行います。

これは、遺言書でもすることができます。遺言書で相続人の廃除をする場合は、遺言執行者が廃除の手続を行うことになります。廃除された相続人は、相続権がなくなり、遺留分の権利も剥奪されます。

同時に、遺言書で、社会福祉法人へ全財産を遺贈するという、意思表示をしておく必要があります。この点についても、遺言執行者を定めて、速やかに財産の引き渡しを行ってもらう必要があると思います。