相続・遺言・検認手続・遺留分
Q.わたしの弟が、66才で亡くなりました。弟には20年前に別れた妻との間に娘がひとりいますが、離婚後は音信不通でどこにいるかもわかりません。
弟は、亡くなる数年前から病気を患い、わたしが身の回りの世話をしてきました。弟は、生前から自分が亡くなったら自宅マンションや預金などの全財産をわたし(姉)にあげると言っており、遺言書と書かれた封筒も預かっています。また、今後わたしはどのような手続をとればよいのか教えて下さい。
回答
最初に、遺言書と書かれた封筒は開封せずに家庭裁判所に提出して「検認」という手続を経なければなりません。
検認では、原則相続人である子供さんと相談者(利害関係人)の立会いのもと(立会は必須ではありません)に開封され、このような内容の自筆証書遺言が存在するということが認定され、関係者に通知されます。
この検認手続は、遺言書の有効性を認めるものではありませんが、検認手続をしないと、マンションの名義書換や預金の引出し等の手続を行うことは出来ません。
また、弟さんが有効な遺言で姉に全財産をあげる(遺贈)としている場合でも、娘さんから遺留分を主張される可能性がありますので、その点は注意して下さい。この場合娘さんが主張できる遺留分は、弟さんの財産から支払わなければならない債務(入院費や借入金ど)を差し引いた財産の額に対する2分の1の割合となります。遺留分を侵害する遺言は無効ではありません。遺留分は、娘さんが主張しなければ行使できない権利であり、娘さんが弟さん(父)が亡くなったことを知ってから1年間または、亡くなってから10年の間に行使しなければ時効によって消滅する権利です。
家庭裁判所への検認申立書の作成、マンションの遺贈登記及び金融機関への手続、必要書類の収集方法などまずはご相談ください。