ブログ「ひと葉日記」

実質的支配者リスト制度

司法書士法人ハート・トラスト福岡オフィス重村です。

最近、ぐるナイのゴチ新メンバーよりも、笑点新メンバーの桂宮治さんの方が気になる歳になってきた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか

さて、新しいことといえば先日法務局でも新しい取り組みが始まりましたので、本日はそれを紹介させていただこうと思います。


令和4年1月31日より実質的支配者(Beneficial Owner、以下「BO」)リスト制度が始まりました。

BOとはその名の通り、その会社の決議を単独または2人で実現できる株主である自然人のことであり、会社のBOが法人の場合は、その法人の株主が先の会社のBOとなります。現在のところ、議決権の25%以上を保有している株主がいる株式会社(特例有限会社を含む)のみがこの制度の対象となっており、その会社の実質的支配者である自然人を公的機関が把握するということが、この制度の概要となります。

国際的なマネー・ローンダリング、テロ資金供与防止の観点から、法人のBOを把握することは,国際的要請であり、今回のBOリスト制度新設の背景には、法人設立後の継続的なBOの把握についての取組の一つとする側面がありますが、EU諸国に対し、日本ではこのBOの把握がそれほど進んでいません。

以前より(平成30年11月30日から)株式会社、一般社団法人及び一般財団法人の設立において、定款認証の際に「実質的支配者となるべき者の申告書」を公証役場に提出することが義務付けられていましたが、これは会社設立時にのみに要求されるもので、設立後の変更は一切規制対象とされていないことから、実際の運用には課題が残るものでした。

BOの把握が十分に行われていない国においては,その国の企業,特に金融機関が海外取引を行うに当たって取引の相手方である金融機関からリスクが高いとの評価を受け、取引コストが増大する事態を招き得るとされています。

そのため、日本でも特に金融機関が高い関心を示しており、今回、法務局という公的機関が保管、認証文付き写しの交付をし、継続的なBOの把握ができるようになったことで、より多くの局面で、金融機関等からBOリストの提出を要求されることが増えると思われます。

今後は、制度の義務化、BO変更時における更新義務、義務違反に対する罰則規定等、さらなる拡充が求められていくこととなるでしょうが、いつ金融機関から提出を求められても、慌てないように、制度をきちんと把握しておきましょう!


手続きの流れはこちらのリンクから↓
法務省 実質的支配者リスト制度の創設