民事信託士誕生へ
こんにちは。司法書士の岩永加寿美です。
本日、東京からの帰り道中にて投稿しています。
今回の上京の目的は「民事信託士」という一般社団法人民事信託推進センターが民事信託の適正活用を担う人材の育成を目指してこの度創設された資格のお披露目の記念講演に参加することでした。
「民事信託士」とは?→信託業法の適用を受けない民事信託に関して、当事者の依頼により、民事信託に関する相談業務やスキームの構築のほか、受益者保護や信託業務遂行の監督業務を行う者としての受益者代理人、信託監督人、信託事務受託者を担う者と定義され、平成26年8月には名称の登録がされました。今年第1回のです認定が行われます!
なぜ民事信託士?→民事信託を広く社会に知ってもらうため、そしてその利用のための担い手が存在することも知ってもらう必要があります。
要件は?→財産管理業務が法律で認められている司法書士と弁護士に限り、一定の基準に達した者を認定(トラブル発生の際に司法書士会や弁護士会が苦情窓口となれるという理由で)
適正な民事信託利用の促進→民事信託はその設定方法を工夫することで、成年後見制度を補い、相続対策や事業承継の一手段と出来るなど大きなメリットがあります。しかし、民事信託は、民法や会社法、税法が複雑に絡む新しい分野であり、事例や判例はまだ少ないのです。もちろん、信託に関する一般的な知識は、司法書士、弁護士なら誰もが持っていますが、具体的な民事信託の実務能力は、個々によってばらつきがあることは、否定できません。
そのことを踏まえて、依頼者の最善の利益を実現するような解答を出せる民事信託のプロを育成することが必要であると考え、司法書士、弁護士の中でも特に民事信託に関する知識があり全面的なサポートができる人を認定することとしたのです。
民事信託士は何をするの?→依頼者からの財産管理やその承継や遺言、相続、また、事業承継などの相談の解決策の一つとして民事信託を提示します。
①民事信託の相談を受け、そのスキームを提示します。
②信託契約書の作成を行います。
③不動産の信託登記を行います。
④会社の定款変更を提案します。
⑤信託監督人、受益者代理人等に就任します。
⑥受託者から第三者委託を受けたり、顧問に就任します。
⑦受託者法人の設立手続きを行います。
付随して、
⑧遺言の場合の遺言執行者に就任します。
⑨成年後見制度の利用が必要な場合の申立手続き、成年後見人等に就任します。
民事信託は、相続対策や老後対策の切り札だと言われ、その可能性は無限大です。
私も民事信託を使うことによって、民法、会社法を超えて、自由な意思で、自分の財産や権利を守っていけるようになったことはとても喜ばしいことだと思います。
しかし、一方でこの民事信託の制度は理解をするのがとても難しい制度だということが最大の欠点だとも思います。
私が関わった家族信託においても、まず相談者の制度の構造やメリット、デメリットを何度も何度も繰り返し説明をしました。まず、制度を理解してもらわないと意思決定ができないからです。利用者が理解できない制度は、そのうち利用されなくなります。利用したことを後悔します。それではいけないのです。
その為には、やはり民事信託の能力を認められた専門家という存在は必要だと思います。
私も民事信託士の資格取得を視野に入れながら、自己研鑽に励み、依頼者に喜ばれる家族信託の提案ができる司法書士を目指していきたいと思います!